HISモバイルは旅行会社大手のH.I.Sと日本通信が提携している格安SIMです。
主流プランとなる「自由自在2.0プラン」はとにかく安く使えるのを最大の売りにしています。
音声通話SIMを月額280円から維持できます。
格安で使える一方、「混雑時の通信速度が遅い」「余ったデータ通信量を繰り越せない」などのデメリットもあります。
サブ回線なら特に問題ありませんが、メイン回線として使う場合は注意しましょう。
本記事では実際にHISモバイルを契約・利用した筆者が、料金プランやメリット・デメリットについて詳しく解説します。
HISモバイルの料金【自由自在プラン】
HISモバイルの料金プランは大きく3種類あります。
データ定額440プランはデータ通信とSMSのみ使えます。
音声通話は使えないので、タブレットやモバイルルーター向けです。
本記事では「自由自在 2.0プラン」をメインに取り上げます。
データ容量 | 月額料金 |
---|---|
1GB | 550円 ※100MB未満なら280円 |
3GB | 770円 |
7GB | 990円 |
10GB | 1,340円 |
20GB+6分かけ放題 | 2,190円 |
30GB+6分かけ放題 | 2,970円 |
1GB~30GBまで6種類のデータ容量が用意されています。
このうち、1GBプランはデータ容量が100MB未満なら月額280円で利用可能です。
予備回線として寝かせておくのにピッタリですね。
3GB・7GB・10GBも業界最安クラスですし、20GBと30GBは6分かけ放題が標準で付帯します。
後ほど他社とも比較しますが、この月額料金の安さがHISモバイルの魅力です。
国内通話料は9円/30秒
HISモバイルの国内通話料は9円/30秒です。
一般的な格安SIMは20円/30秒なので、他社の半額以下で通話できます。
以前は専用アプリ「HIS電話アプリ」を使わないと、通話料が安くなりませんでした。
現行の「自由自在プラン 2.0」はスマホ標準の電話アプリでも通話料が割引されます。
【HIS電話アプリが利用ができないプラン】
引用元:HISモバイル
格安弐拾プラン、格安かけ放題プラン、格安ステッププラン、自由自在プラン
標準の電話アプリで通話ができるため、HIS電話アプリは使用しません。
「かけ放題オプションはいらないけどたまに電話をかける」という人にピッタリですね。
初期費用や各種手数料は普通
HISモバイルの初期費用および各種手数料は以下の通りです。
項目 | 料金 |
---|---|
契約事務手数料 | 3,300円 |
SIMカード再発行 | 3,300円 |
SIMカードサイズ変更 | 3,300円 |
eSIM再発行/機種変更 | 1,100円 |
SIMからeSIMへ変更 | 1,100円 |
eSIMからSIMに変更 | 3,300円 |
契約時には3,300円の事務手数料がかかります。
格安SIMでは一般的ですね。
他社だと事務手数料の他に数百円のSIM発行手数料がかかりますが、HISモバイルはかかりません。
再発行やサイズ変更などの手数料は物理SIMなら3,300円、eSIMなら1,100円です。
eSIMの場合は別の機種で使う際も1,100円の手数料がかかります。
オプションは必要最低限
HISモバイルで利用できるオプションは以下の通りです。
オプション名 | オプション料金 |
---|---|
完全かけ放題オプション | 月額1,480円 |
通話6分定額オプション | 月額500円 |
留守番電話 | 月額385円 |
キャッチホン | 月額275円 |
留守番電話・キャッチホンパック | 月額605円 |
転送電話 | 0円 |
国際ローミング | 0円 |
国際電話 | 0円 |
5Gオプション | 0円 |
チャージ | 1GB/200円 |
フィルタリング | 月額396円 |
HIS Mobileケア | 月額550円 |
音声オプションやフィルタリング、端末補償など最低限必要なオプションのみ用意されています。
エンタメ系のオプションやセキュリティソフトなどはありません。
契約縛り・違約金なし
HISモバイルには契約縛りや最低利用期間がありません。
不要になった場合は、いつでも違約金なしで解約できます。
MNPで他社に乗り換える際の「MNP転出手数料」も無料です。
HISモバイルの月額料金を他社と比較
HISモバイルは月額料金の安さが特徴です。
本当に安いのか、主要な格安SIMと比較してみました。
1~10GBプランはかなり安い
1~10GBの小容量プランはHISモバイルが最安級です。
格安SIM | 1GB | 2GB | 3GB |
---|---|---|---|
HISモバイル | 550円 | – | 770円 |
IIJmio | – | 850円 | – |
JCOMモバイル | 1,078円 | – | – |
LIBMO | – | – | 980円 |
LinksMate | 737円 | 770円 | 902円 |
mineo | 1,298円 | – | – |
NUROモバイル | – | – | 792円 |
イオンモバイル | 858円 | 968円 | 1,078円 |
日本通信SIM | 290円 | 510円 | 730円 |
格安SIM | 5GB | 7GB | 10GB |
---|---|---|---|
HISモバイル | – | 990円 | 1,340円 |
IIJmio | 990円 | – | 1,500円 |
JCOMモバイル | 1,628円 | – | 2,178円 |
LinksMate | 1,210円 | 1,463円 | 1,870円 |
mineo | 1,518円 | – | 1,958円 |
NUROモバイル | 990円 | – | 1,485円 |
イオンモバイル | 1,298円 | 1,518円 | 1,848円 |
日本通信SIM | 1,170円 | 1,390円 | 1,390円 |
1GBと3GBは日本通信SIMの次に安いですし、7GBと10GBは最安です。
HISモバイルの1GBは月100MBなら280円に割引され、日本通信SIMの1GBとほぼ同額で維持できます。
電話しか使わない場合や、予備で維持しておく場合のコストは変わりません。
毎月100MB以上使うなら、日本通信SIMのほうが割安です。
20/30GBもかけ放題ありならコスパ〇
次は20/30GBプランの比較です。
HISモバイルの20/30GBプランは6分かけ放題が標準で付帯されています。
格安SIM | 20GB | 30GB | かけ放題 |
---|---|---|---|
HISモバイル | 2,190円 | 2,970円 | 6分かけ放題が付帯 |
IIJmio | 2,000円 | 2,700円 | 有料 |
JCOMモバイル | 2,728円 | – | 有料 |
LIBMO | 1,991円 | 2,728円 | 有料 |
LinksMate | 2,970円 | 3,905円 | 有料 |
mineo | 2,178円 | – | 有料 |
NUROモバイル | 2,699円 | – | 有料 |
UQモバイル | 3,278円 | – | 10分かけ放題が付帯 |
イオンモバイル | 1,958円 | 2,508円 | 有料 |
ワイモバイル | 4,015円 | 5,115円 | 有料 |
プラン単体で見るとイオンモバイルやLIBMO、IIJmioなどのほうが少し安くなります。
しかし、これらの格安SIMはかけ放題が有料です。
5分かけ放題の場合は400~550円前後のオプション料が別途かかります。
HISモバイルは6分かけ放題が標準で付帯しているため、1回6分以内の通話は追加料なしでかけ放題です。
5分かけ放題が必要な人は、HISモバイルを利用したほうがスマホ代を節約できますよ。
通信速度は遅め、混雑時はとくに注意
格安SIMを使う際に気になるのが通信速度です。
HISモバイルはドコモ回線を利用していますが、ドコモは2023年頃から通信品質が低下しています。
果たしてHISモバイルの通信速度はどうなのか、実際に測定してみました。
Speedtest - インターネット速度
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測定結果は以下の通りです。
時間帯 | 下り | 上り |
---|---|---|
朝(9時台) | 31.9Mbps | 4.01Mbps |
昼(12時台) | 0.62Mbps | 1.05Mbps |
夕方(18時台) | 34.5Mbps | 4.08Mbps |
夜(21時台) | 1.81Mbps | 2.46Mbps |
時間帯によってかなり速度にばらつきが見られます。
昼と夜は速度がかなり遅く、SNS(X)やブラウジングもままならないほどでした。
お昼休みや夜の帰宅時間にスマホを使う場合は、ストレスを感じるかもしれません。
混雑時に遅くなるのは、多くの格安SIMで共通するデメリットでもあります。
朝や夕方は30Mbpsほどと、そこそこの速度です。
大手キャリアのような「超高速!」とはいきませんが、SNSや動画視聴くらいなら問題ありませんでした。
格安SIMの通信速度は利用する場所などで大きく左右されます。
そのため、筆者の結果だけでなく通信比較サイト「みんそく」のデータも見てみましょう。
時間帯 | 下り | 上り |
---|---|---|
朝 | 117.6Mbps | 13.96Mbps |
昼 | 13.58Mbps | 7.97Mbps |
夕方 | 54.94Mbps | 12.43Mbps |
夜 | 169.32Mbps | 15.0Mbps |
深夜 | 86.19Mbps | 18.78Mbps |
みんそくの結果を見ても、お昼は通信速度が低下しています。
筆者の結果よりはマシですが、やはり混雑時は速度が落ちやすいようです。
通信速度を重視する場合はUQモバイルやワイモバイルなど、通信品質が良い格安SIMを選びましょう。
余ったデータ容量を繰り越せない
HISモバイルはデータ繰り越しに対応していません。
データ繰り越しは、余ったデータ容量を翌月に繰り越して使える機能です。
多くの格安SIMで対応している機能ですが、意外にもHISモバイルはデータくりこしに非対応です。
月々の使い切らなかったデータ量は翌月に繰り越せますか?
引用元:月々の使い切らなかったデータ量は翌月に繰り越せますか?
繰り越し制度はございません。
データ容量を使い切ることが少ない人の場合、データ繰り越しがあるといざという時にデータ通信をたくさん使えて便利です。
筆者も普段は容量が余りがちですが、そのおかげで遠出する時はガンガンデータ通信が使えます。
データ繰り越しがないHISモバイルでは、余ったデータ容量はすべて破棄されます。
ちょっともったいないですね。
端末セットが安くない
HISモバイルは端末セットを多数取り揃えていますが、価格が微妙です。
割高ではありませんが、割引がほとんどないため安くもありません。
中古のiPhoneやハイエンドAndroid機も取り扱っており、ラインナップは結構豊富です。
ただ価格はそこまで高くなく、あえてHISモバイルで買う必要がありません。
普通にAmazonや家電量販店で買った方が安いケースも目立ちます。
端末を安く買うならIIJmioがおすすめです。
お得なセール・割引を実施しており、乗り換えなら格安でスマホを購入できます。
対面サポートありだが店舗は少なめ
HISモバイルは実店舗が少なめです。
2024年1月時点では全国に取扱店舗が90店舗、直営店舗に限ると2店舗しかありません。
全くない格安SIMよりはマシですが、大手キャリアやサブブランドに比べると少なく感じます。
しかも店舗は都市部に集中しており、地方は店舗がほとんどありません。
ある程度の設定やトラブル対応が自分でできるなら、とくに気にする必要はありません。
反対に「店舗で対面サポートがないと無理」という人は、HISモバイル以外を選んだほうが良いでしょう。
その他に気になったこと
実際にHISモバイルを使っていると、その他にもいくつか気になることもありました。
専用アプリがない(に等しい)
HISモバイルには専用アプリが用意されていますが、はっきり言って使う意味はありません。
「ログイン」をタップするとブラウザが起動し、マイページへのログイン画面が表示されるだけです。
他社アプリは通信量の確認や追加チャージ、高速/低速通信の切り替えなどに対応していますが、HISモバイルのアプリにそのような機能は一切ありません。
これならブラウザでマイページのURLをブックマークすれば良いでしょう。
eSIM対応だが即日発行は不可
HISモバイルは「eSIM」に対応していますが、即日発行はできません。
通常、eSIMは郵送物がないので早ければ数十分~1時間ほどで開通できます。
例えばIIJmioやmineo、UQモバイルなどは即日開通が可能です。
申し込み時間や審査内容によっては時間がかかりますが、それでも翌日には開通するでしょう。
一方、HISモバイルでeSIMを使う際は普通郵便で送られてくる住所確認コードを使って開通手続きする必要があります。
住所確認コードが来るまでは開通できないので、eSIMの開通まで数日~1週間ほどかかるようです。
eSIMの良いところを自ら潰しているのはもったいなく感じます。
eSIM発行の申し込み時間 | 完了までの時間 |
---|---|
10~20時 | 1時間以内に完了 |
20~24時 | 翌11時までに完了 |
0~10時 | 当日11時までに完了 |
エントリーパッケージが安くない
HISモバイルはエントリーパッケージが用意されていますが、価格が高くお得感はありません。
例えばUQモバイルの場合、エントリーパッケージを使うと3,850円の事務手数料が無料になります。
UQモバイルのエントリーパッケージは300円ほどで買えるので、初期費用も実質300円ほどしかかかりません。
普通に申し込むより圧倒的にお得です。
HISモバイルも、エントリーパッケージを利用すれば事務手数料3,300円が無料になります。
しかし、エントリーパッケージの価格が3,000円ほどなので、普通に申し込むのと大して変わりません。
むしろエントリーパッケージを買う手間と時間が余計にかかります。
セールなどで割引されない限りは、事務手数料を節約できないのが難点です。
HISモバイルの評判
ここでは、HISモバイルを実際に使っている人の評判をXから集めてみました。
良い評判:とにかく安い
まずはHISモバイルの良い評判からです。
良い評判は、ほぼ月額料金に関連したものばかりでした。
やはり月額料金の安さ目当てで契約する人が多いようですね。
悪い評判:通信速度が遅い
続いて、HISモバイルの悪い評判を見てみましょう。
通信速度に関してはネガティブな評価が目立ちます。
安さよりも通信の快適さを求めるなら、他社のほうが良いでしょう。
また、月額料金は安いものの端末代は割高です。
HISモバイルはSIMのみ契約し、端末は他で調達するのをおすすめします。
HISモバイルがおすすめな人
ここまでに解説したメリット・デメリットを踏まえると、HISモバイルは次のような人におすすめです。
HISモバイルはなんと言っても月額料金の安さが魅力です。
月間のデータ使用量が100MB未満なら月額280円で保有できます。
電話がメインでデータ通信をほとんど使わない人にピッタリです。
メイン回線がau/ソフトバンク回線の人がサブで寝かせておくのにもおすすめです。
3~10GBプランは業界最安クラス、20/30GBプランもかけ放題ありなら安く使えます。
通信速度は遅めですが、何よりも安さ重視ならメイン回線として使っても良いでしょう。
HISモバイルのよくある質問
- QHISモバイルは即日開通できる?
- A
HISモバイル取扱店舗で音声通話SIMを申し込む場合のみ、即日開通できます。
- QHISモバイルは5Gに対応している?
- A
自由自在プランのみ対応しています。
追加料金もかかりませんが、My HISモバイルから5Gオプションの加入申請が必要です。
- QHISモバイルに速度制限はある?
- A
HISモバイルでは、低速時に3日間で360MB以上のデータ通信を使うとさらに速度制限されます。
- QHISモバイル契約後にプラン変更できる?
- A
HISモバイルではMy HISモバイルからプラン変更できます。
ログイン後、メニューの「プラン変更」を押してください。
まとめ
以上、HISモバイルの評判とメリット・デメリットまとめでした。
とにかく安さに全振りした格安SIMです。
混雑時に速度が低下するのとデータ繰り越し非対応が懸念点で、ぶっちゃけメイン回線として使いづらいかもしれません。
筆者的には電話専用回線やサブ回線、予備回線として割り切って使うのがおすすめです。