moto e32sはモトローラから発売されているSIMフリースマホです。
低価格ながらスタイリッシュなデザインで、ぱっと見ではエントリー機とは思えません。

大画面ながら、重量が約185gと重すぎないのも魅力です。
ただし、スペックはここ最近に登場したスマホの中でもとくに低めです。
90Hzのリフレッシュレートや指紋認証・顔認証に対応するなど、廉価モデルの割には頑張っているポイントもあります。
それでも、性能の低さを考えるとぶっちゃけあまりおすすめはできない機種です。
本記事では実際にmoto e32sを購入した筆者が、良かったところやイマイチなところを本音でレビューします。
安価ながらスタイリッシュなボディ
さっそくmoto e32sのデザインをチェックします。
今回はスレートグレイのカラーを購入しました。

プラスチックボディですが質感は非常に良く、安っぽさを感じません。
エントリー機らしからぬ、かっこいいデザインです。

右側面には音量ボタンと電源ボタンが配置されています。
電源ボタンは指紋認証も兼用です。

左側面にはSIMカードスロットがあります。

上部にはイヤホンジャックが配置されています。
有線派にはうれしいですね。

底面にはUSB-Cポートとスピーカーです。

スピーカーはモノラルスピーカーです。
音質は普通ですが、やはりステレオスピーカーのスマホには敵いません。
音にこだわる人は外部スピーカーかイヤホンを使いましょう。
90Hz対応ディスプレイ
moto e32sのディスプレイサイズは6.5インチと大型です。
中央部にパンチホールがあります。

解像度はHD+(1,600×720)止まりですが、90Hzのリフレッシュレートに対応しています。
1秒間に画面を書き換える回数のこと。単位はHz(ヘルツ)。一般的なスマホは60Hzで、この数値が高いほどスクロールや映像が滑らかになります。

格安モデルで90Hzのリフレッシュレートに対応しているのは評価ポイントです。
スペック的にゲームは厳しいですが、普段の操作やスクロールも滑らかになります。
サイズの割には軽め
moto e32sは画面が大きい分だけ、本体サイズもそれなりに大きめです。
片手での操作は難しいでしょう。


ただ、重量は185gとサイズの割に軽めです。
「大画面スマホを使いたいけど、重すぎるのは苦手」という人でも問題なく使えます。
ケース付属もアダプタはなし
moto e32sの付属品は以下の通りです。
- クリアケース
- 取扱説明書
- SIMピン

専用のクリアケースが付属します。
厚みのあるソフトケースで、色や素材にこだわりがないなら別売りケースは不要ですね。


ケースが付属する一方、USBケーブルやACアダプタなどは付属しません。
過去のモトローラ機に比べると、付属品は寂しい印象です。

moto e32sのスペック
moto e32sのスペックは以下の通りです。
スペック | moto e32 |
---|---|
カラー | スレートグレイ ミスティシルバー |
サイズ | 幅約73.84mm 高さ約161.78mm 厚さ約8.49mm |
重さ | 約185g |
ディスプレイ | 約6.5インチ, LCD HD+(1,600×720) |
リフレッシュレート | 90Hz |
OS | Android 12 |
SoC | Helio G37 |
メモリ | 4GB |
ストレージ | 64GB |
アウトカメラ | 1600万画素+200万画素+200万画素 |
インカメラ | 800万画素 |
バッテリー | 5,000mAh |
対応SIM | nanoSIM + nanoSIM |
DSDV | 〇(トリプルスロット) |
5G | × |
Wi-Fi | Wi-Fi 5(802.11ac) |
Bluetooth | 5.0 |
防水・防塵 | IP52 |
おサイフケータイ | × |
MediaTekのエントリー向けSoC「Helio G37」を採用しています。
メモリ・ストレージも最低限で、スペックは低めです。
おサイフケータイには対応せず、防水性能もIP52(生活防水レベル)に留まっています。
Antutuは約12万
moto e32sでベンチマークアプリ「Antutu」を走らせてみました。
スコアは約12万でした。
最近はエントリークラスでも20~25万前後の機種が増えています。
それを考慮すると、moto e32sの処理性能はエントリー機の中でも低い部類ですね。
-
- 30万未満:動作はモッサリ
- 30~40万:最低限の性能、軽いアプリはOK
- 40~50万:普段使いなら十分
- 50万~100万:ゲーム以外はサクサク動く
- 100万以上:多くのゲームが快適

サブで使う場合でも、せめて20万以上のスコアが欲しいところです。
Xやニュースアプリ、調べものといった軽いアプリでもモッサリ感を感じます。
ゲームプレイには向かない
moto e32sでいくつかゲームをプレイしてみました。
軽い2Dゲームはなんとかプレイできますが、全体的にスペック不足を感じます。
3Dゲームはほぼプレイできません。
こちらはmoto e32sで原神をプレイした動画です。
最低画質でも動作はカクカクで、まとなプレイができません。
ある程度ゲームをプレイする場合は、最低でも3~4万円前後のミドルクラス以上のモデルを購入してください。
FMラジオ搭載
moto e32sはFMラジオに対応しています。
イヤホンやヘッドホンを挿すことで、FM機能が利用可能です。

筆者は普段ラジオを聞きませんが、災害時はラジオが使えると何かと便利です。
FMラジオ機能が付いているmoto e32sも、もしもの時に重宝しますね。
他のFMラジオ対応機種と同様に、イヤホンを挿していない状態ではFMラジオを使えません。

緊急時に備えるなら、イヤホンも一緒に保管しておくと安心です。
moto e32sのカメラをチェック

ここからはmoto e32sのカメラ性能をチェックしていきます。
- アウトカメラ①1600万画素
F2.2、広角 - アウトカメラ②200万画素
F2.4、マクロ - アウトカメラ③200万画素
F2.4、深度センサー
3眼構成ですが、うち1つは被写体との距離を測る「深度センサー」です。
実質的には広角+マクロのデュアルカメラと言えます。
以下は広角カメラでの作例です。




明るい所での画質はそこそこです。
特別キレイではありませんが、自然な写真を撮影できます。
「旅行の記録として写真を残しておく」程度ならOKです。
HDRがうまく効かず、白飛びしてしまうこともしばしば。
このあたりは価格相当です。


ズームはデジタルのみで最大4倍
moto e32sは光学ズームに対応していません。
デジタルズームは最大4倍です。




倍率は低いものの、4倍でも割とキレイですね。
マクロはやや解像度が低い
moto e32sのセカンドカメラは200万画素のマクロカメラです。
被写体に近づいて、迫力のある写真を撮影できます。


ただ、画素数が200万なのでメインカメラに比べると画質は悪くなります。
夜景はイマイチ
明るい所ではそれなりに撮れるmoto e32sですが、夜景はイマイチでした。
一応、暗所専用の「ナイトビジョン」モードを搭載しています。
通常よりも明るく、ノイズの少ない写真が撮影可能です。


とはいえ、moto e32sはあくまでもエントリークラスです。
ナイトビジョンを使っても明るさが足りず、ノイズや白飛びが目立ちます。




夜景撮影については価格相当と言えます。
やはり、カメラにこだわる人には向きませんね。
バッテリーをチェック

moto e32sは5,000mAhの大容量バッテリーを搭載しています。
電池持ちは期待できそうですが、一方で充電速度は15Wと遅めです。
ここではmoto e32sの電池持ちと充電速度についてチェックします。
電池持ちは良好
まずは電池持ちですが、結論から言うとそこそこ長く持ちます。
以下の状態でYouTubeの動画を再生し、電源が切れるまでの時間を計測してみました。
- 電池100%
- 明るさMAX
- Wi-Fi接続
- 画面のスリープオフ
- YouTubeを全画面で再生
その結果がこちら。
経過時間 | バッテリー残量 |
---|---|
1時間 | 95% |
2時間 | 88% |
3時間 | 80% |
4時間 | 72% |
5時間 | 65% |
6時間 | 57% |
6時間再生しても57%のバッテリーが残っています。
最終的に、バッテリーが0%になるまで12時間26分かかりました。
参考までに、筆者が直近でレビューした他モデルと比較してみましょう。
バッテリー容量 | 再生時間 | |
---|---|---|
moto e32s | 5,000mAh | 12時間26分 |
Galaxy S22 | 3,700mAh | 11時間16分 |
Pixel 6a | 4,410mAh | 14時間54分 |
Rakuten Hand 5G | 2,630mAh | 10時間52分 |
Redmi Note 11 | 5,000mAh | 14時間42分 |
AQUOS wish | 3,730mAh | 9時間1分 |
motorola edge 20 | 4,000mAh | 12時間49分 |
容量を考えるともう少し持っても良いかな?と思いました。
それでも12時間越えなら十分ですね。
充電速度はかなり遅め
先ほどの実験で電池が0%になった状態から、100%になるまでの時間を計測しました。
moto e32sはACアダプタやUSBケーブル付属していないため、筆者が愛用している「Anker PowerPort I PD」を使用しました。
結果は以下の通りです。
バッテリー残量 | 充電にかかった時間 |
---|---|
50% | 1時間14分 |
80% | 1時間59分 |
90% | 2時間20分 |
100% | 3時間 |
充電完了まで3時間もかかりました。
かなり遅めですね。
50%までの充電も1時間以上かかります。
電池持ちが良い分、100%まで充電しなくて良いのはまだ助かりますね。
時間がない時は60~70%ぐらいの充電でもOKでしょう。
ワイヤレス充電は非対応
moto e32sはワイヤレス充電に対応していません。
価格を考えれば当然ですね。
ワイヤレス充電を使いたい場合はミドルハイ~ハイエンドクラスのスマホを検討しましょう。
指紋認証と顔認証に対応
moto e32sでは指紋認証と顔認証、2つの生体認証が利用可能です。
指紋認証センサーは側面の電源ボタンに内蔵されています。
精度・速度ともにまずまずです。

顔認証は指紋認証に比べるとややゆっくりです。

顔認証はうまく認識してくれないことも、しばしばあります。
基本的には指紋認証を利用するのがおすすめです。
トリプルスロット採用
moto e32sは2つのSIMカードスロットとmicroSDカードスロットが独立した「トリプルスロット」を採用しています。

2枚のSIMカードを同時に利用する「DSDV」を使いつつ、microSDカードで容量を増やせます。
トリプルスロットを採用する機種はあまりないため、貴重ですね。

3キャリアの主要バンド対応
moto e32sの対応バンドは以下の通りです。
規格 | 対応バンド |
---|---|
5G | 非対応 |
4G | B1/2/3/5/7/8/18/19/20/26/28/38/40/41 |
3G | B1/B2/B5/B8 |
ドコモ、au、ソフトバンクの主要バンドに対応しています。
基本的にはどのキャリアの回線でも使えそうですね。
試しにドコモ回線(OCN)、au回線(donedone)、ソフトバンク回線(LINEMO)のSIMを挿してみましたが、いずれも問題なく使えました。


eSIMは非対応

moto e32sはeSIMに対応していません。
埋め込み型SIMのこと。物理的なSIMカードなしで契約できる。
moto e32sはnanoSIMサイズのSIMカードに対応しています。
eSIMではなく、物理SIMで運用してください。
moto e32sとmoto g32の違い
moto g32は同じモトローラから発売されているエントリーモデルです。
moto e32sと名前が似ており、価格もそこまで変わりません。
では、moto e32sとmoto g32にはどのような違いがあるのでしょうか?
スペック表で比較してみましょう。
スペック | moto e32 | moto g32 |
---|---|---|
価格 | 21,800円 | 28,800円 |
カラー | スレートグレイ ミスティシルバー | ミネラルグレイ サテンシルバー |
サイズ | 幅約73.84mm 高さ約161.78mm 厚さ約8.49mm | 幅約73.84mm 高さ約161.78mm 厚さ約8.49mm |
重さ | 約185g | 約184g |
ディスプレイ | 約6.5インチ, LCD HD+(1,600×720) | 約6.5インチ, LCD FHD+(2400×1080) |
リフレッシュレート | 90Hz | 90Hz |
スピーカー | モノラル | ステレオ |
OS | Android 12 | Android 12 |
SoC | Helio G37 | Snapdragon 680 |
メモリ | 4GB | 4GB |
ストレージ | 64GB | 128GB |
アウトカメラ | 1600万画素+200万画素+200万画素 | 5000万画素+800万画素+200万画素 |
インカメラ | 800万画素 | 1600万画素 |
バッテリー | 5,000mAh, 15W充電 | 5,000mAh, 30W充電 |
対応SIM | nanoSIM + nanoSIM | nanoSIM + nanoSIM |
DSDV | 〇(トリプルスロット) | 〇(トリプルスロット) |
5G | × | × |
Wi-Fi | Wi-Fi 5(802.11ac) | Wi-Fi 5(802.11ac) |
Bluetooth | 5.0 | 5.2 |
防水・防塵 | IP52 | IP52 |
おサイフケータイ | × | × |
同じエントリークラスですが、スペック面ではmoto g32がリードしています。
とくに処理性能の差が大きく、動作はmoto g32のほうがmoto e32sより軽快です。
少しでもスペックを重視するならmoto g32がおすすめです。
一方、価格はmoto e32sが7,000円ほど割安です。
90Hzリフレッシュレート対応や大容量バッテリー搭載など共通点も多く、スペックにこだわらないならそこまで大きな差はありません。
安さ重視ならmoto e32sがおすすめです。
moto e32sの販売価格
ここではmoto e32sの販売価格を見ていきます。
- 定価:21,800円
- 実売価格:1.1~1.9万円
- 格安SIM:2万円前後
実売価格は1.5~1.9万円
moto e32sの定価は21,800円ですが、実売価格は1.5~1.9万円です。
家電量販店などでは2万円ほどで新品が販売されていますが、ネット通販やフリマでは新品でも15,000円ほどで購入できます。
中古品なら11,000円ほどでも買えます。
新品へのこだわりがないなら、中古品を安く買うのがおすすめです。
格安SIMとのセットは微妙
moto e32sのセット販売を取り扱っている主な格安SIMは以下の通りです。
格安SIM | 価格(一括) |
---|---|
IIJmio | 19,800円 |
QTモバイル | 21,912円 |
イオンモバイル | 21,780円 |
発売から時間が経ったこともあり、多くの格安SIMで取り扱いが終了しています。
残っているQTモバイルやイオンモバイルも特に割引はありません。
moto e32sを買うなら単体購入がおすすめです。
まとめ
以上、moto e32sのレビューでした。
- 格安機とは思えないスタイリッシュデザイン
- サイズの割に軽い
- 90Hzのリフレッシュレートに対応
- バッテリー持ちは良好
- 貴重なトリプルスロット採用
- 指紋認証と顔認証に対応
- 格安SIMとセットで激安
- スピーカーはモノラル
- 処理性能はかなり低め
- カメラ性能も価格相応
- 充電が遅い
- おサイフケータイに非対応
約2万円とは思えない良質なデザインが魅力のエントリーモデルです。
90Hz対応や大容量バッテリー搭載、トリプルスロット採用など機能面も充実しています。
とはいえ、処理性能やカメラ性能はかなり低めです。
正直、これからモトローラのエントリー機を買うならmoto g24を選んだ方が良いでしょう。
半日以上に渡って動画を再生できました。電池持ちは良好と言っても良いでしょう。