Fire HD 10 PlusはAmazonが発売する「Fireタブレット」シリーズの最上位モデルです。
日本でタブレットといえばAppleの「iPad」が高いシェアを誇ります。
iPadはハイスペックな分、価格も高価なのでFire HD 10 Plusの安さは魅力的です。
とは言え、どれだけ安くてもスペックが低くて使い物にならなければ意味がありません。
- 「安いけど、ちゃんと動くのか?」
- 「ゲームはプレイできるのか?」
- 「iPadから乗り換えて大丈夫?」
Fire HD 10 Plusに関して、このような疑問を持っている人も多いでしょう。
そこで本記事では実際にiPadからFire HD 10 Plusに乗り換えた筆者が、良かった点やイマイチな点をレビューします。
デザインはいたってシンプル
さっそくFire HD 10 Plusのデザインからチェックしましょう。
カラーはブラック系のスレートのみです。
プラスチック製のマットでシンプルなデザインです。
価格を考えるとしょうがないですが、やや安っぽさを感じます。
カメラはシングルカメラです。
本体上部(縦持ち時)に音量ボタン、電源ボタン、USB-Cポート、イヤホンジャックが集約されています。
側面にはmicroSDカードスロットのみです。
格安タブレットですが、スピーカーはちゃんとステレオです。
音質は特別良い方ではありませんが、YouTubeやAmazonプライムビデオなどの動画視聴なら十分でしょう。
大画面でエンタメ用途に最適
ディスプレイは10.1インチとやや大型です。
太めのベゼルに懐かしさを感じます。
画面が大きいため、電子書籍の閲覧や動画視聴も快適です。
とくに字が小さい電子書籍だとスマホで読むのはつらいですが、大画面のFire HD 10 Plusなら楽に読めます。
フルHD解像度なので画質も良好です。
付属品は必要最低限
Fire HD 10 Plusの付属品は以下の通りです。
最低限のものは揃っているので、とりあえずこのままでも使えます。
ケースや保護フィルムが欲しい場合は別途購入してください。
純正品ならセット購入も可能です。
筆者は自宅でしか使う予定がなく、純正品は高いと感じたのでサードパーティー製の安いケースを買いました。
価格は安いですが、割と普通に使えています。
商品ページの日本語が怪しいので注意。
Fire HD 10 Plusのスペック
Fire HD 10 Plusのスペックをまとめました。
スペック | Fire HD 10 Plus |
---|---|
価格 | 32GB版:18,980円 64GB版:22,980円 |
カラー | スレート |
サイズ | 幅約247mm 高さ約166mm 厚さ約9.2mm |
重さ | 約468g |
ディスプレイ | 約10.1インチ, FHD+(1,920×1,200) |
リフレッシュレート | 60Hz |
OS | Fire OS 7 |
SoC | 2.0GHz オクタコア |
メモリ | 4GB |
ストレージ | 32GB / 64GB |
アウトカメラ | 500万画素 |
インカメラ | 200万画素 |
バッテリー | 最大12時間、ワイヤレス充電対応 |
対応SIM | × |
DSDV | × |
Wi-Fi | Wi-Fi 5(802.11ac) |
Bluetooth | 5.0 |
防水・防塵 | × |
他のFireタブレットはメモリが2~3GBですが、Fire HD 10 Plusのみ4GBです。
さらにオクタコアSoC(詳細は不明)を搭載しており、意外にもサクサク動きます。
ネットサーフィンやSNS、電子書籍の閲覧といった軽い用途はこなせますね。
もちろん上位モデルに比べるとモッサリしているのは否めません。
アプリの切り替えなども多少もたつきます。
あくまでもエントリー機であることには注意が必要です。
Antutuスコアは約17万
ベンチマークソフト、Antutuを走らせてみたところスコアは約17万でした。
Geekbenchはマルチコアスコアが1082です。
スコア的にもザ・エントリーって感じですね。
軽いゲームならOK、艦これも◎
Fire HD 10 Plusでいくつかゲームも試してみました。
モンストのような軽い2Dゲームのプレイは全く問題ありません。
艦これも割と快適にプレイ可能です。
実際に艦これをプレイした動画はこちらです(内部録音ができないため無音です)。
録画しながらだとやや動作が重くなりますが、普段はこの動画よりもうワンテンポ早く動作します。
フリーズ等もなく、結構快適です。
とくにiOS/iPadでプレイしづらい艦これ専用タブレットとしてもピッタリですね。
一方、負荷が大きい3Dゲームは厳しめです。
SoCのパワーが全然足りないためカクつきますし、結構発熱します。
負荷が大きいことで知られる原神をプレイしてみましたが、ガックガクでまともにプレイできませんでした。
だいたいの人が分かったうえで購入すると思いますが、ゲームを本格的にプレイするのには向きません。
iPadやXiaomi Pad 5など、ハイスペックなタブレットを購入してください。
逆に言えば、ゲームをしないならFire HD 10 PlusでOKです。
筆者は電子書籍の閲覧や動画視聴、ゲームの攻略情報のチェックなどで使っています。
こういったライトユースなら、不満は感じませんよ。
カメラ性能はあまり高くない
続いてはFire HD 10 Plusのカメラ性能(アウトカメ)ラをチェックします。
アウトカメラは500万画素のシングルカメラです。
UIはシンプルそのもので、設定項目も多くありません。
明るい所ではそれなりにキレイに撮れます。
ただ、スマホのカメラに比べても品質は落ちますし、ポートレートや超広角といった撮影もできません。
夜間撮影も試してみましたが全くダメでした。
一応、夜景モードがありますが全く明るく撮れません。
カメラの性能は必要最低限です。
せいぜいQRコードを読み取る、メモ代わりに写真を残すくらいでしょうか。
とはいえ、タブレットで写真を撮る人はそこまで多くないと思います。
大多数の人にとっては、Fire HD 10 Plusのカメラ性能でも特に問題ありません。
バッテリー性能チェック
次はFire HD 10 Plusのバッテリー性能をチェックしてみましょう。
スペック上のバッテリー持ち・充電速度は次の通りです。
- バッテリー持ち:最大12時間
- 充電時間:付属のアダプタで約4時間
これが正しければ「バッテリー持ちはまずまず、充電は遅い」ことになりますが、果たしてどうなのでしょうか。
実際に試してみました。
バッテリー持ちはまずまず
最初に以下の条件でバッテリー持ちのテストを実施しました。
その結果がこちらです。
経過時間 | バッテリー残量 |
---|---|
1時間 | 92% |
2時間 | 82% |
3時間 | 72% |
4時間 | 62% |
5時間 | 52% |
6時間 | 42% |
6時間再生して42%のバッテリーを維持していました。
最終的に0%になるまでにかかった時間は10時間32分です。
特別長持ちというわけではありませんが、まずまず持ちましたね。
充電はかなり遅め
続いては充電速度のテストです。
さきほどのテストが終わって0%になった状態から100%になるまでの時間を計測しました。
ACアダプタおよびUSBケーブルは付属品を使用しています。
テストの結果はこちら。
バッテリー残量 | 充電にかかった時間 |
---|---|
50% | 1時間42分 |
80% | 2時間46分 |
90% | 3時間9分 |
100% | 3時間55分 |
100%まで3時間55分かかりました。
約4時間という公式情報とほぼ一致していますね。
充電速度はかなり遅めです。
電池持ちは悪くありませんが、こまめに充電したほうが良いでしょう。
ワイヤレス充電対応
Fire HD 10 Plusはワイヤレス充電に対応しています。
Qi規格対応のワイヤレス充電器があれば、ケーブルを挿さずに充電が可能です。
筆者が持っているワイヤレス充電器でも充電できました。
ただ、パッド型だと位置を合わせるのが難しいですし、本体が大きい分だけ場所を取ります。
Fire HD 10 Plusでワイヤレス充電を使うならスタンド型のワイヤレス充電器がおすすめです。
純正のワイヤレス充電スタンドも販売されています。
充電しながら使いたい人(とくにShowモード)は購入しておくと便利です。
Alexaにも対応
Fire HD 10 PlusはAmazonの人工知能「Alexa(アレクサ)」を搭載しています。
話しかけてニュースを聞いたり、家電を操作したりすることが可能です。
Echo Showシリーズのようなスマートディスプレイとして使える「Showモード」にも対応しています。
筆者はEcho Dotを1台、寝室に導入しています。
重宝していますが、Echo Dotを使うにはコンセントが必要です。
Fire HD 10 Plusならバッテリー稼働で場所を問わず使えます。
アプリストアの品揃えはイマイチ
Fire HD 10 Plusに限らず、Fireシリーズ最大の弱点がアプリストアの品揃えの悪さです。
Fireシリーズでは(公式な方法では)Google Playを使えません。
代わりに独自のAmazonアプリストアからアプリをダウンロードします。
Amazonアプリストアの品揃えですが、筆者が以前Fire 7を購入したときに比べるとマシです。
例えばFire 7レビュー当時はアズールレーンがありませんでしたが、現在はちゃんと用意されています。
InstagramやTwitter、TikTokといったSNS、コロナで大ヒットしたZoomなど、定番アプリもある程度はありました。
一方で、次のようなアプリはAmazonアプリストアにありません。
YouTubeをはじめ、Google系のアプリは基本的に使えません。
ブラウザや非公式アプリで代用も可能ですが、やっぱり不便です。
Google Playの利用は自己責任
一応、FireシリーズでもGoogle Playは利用可能です。
筆者もGoogle Playを導入しています。
しかし、非公式な方法のため導入は自己責任です。
何かあっても筆者は責任を取れないため、本記事では導入方法を紹介しません。
「Fireタブレット Google Play」などと調べれば詳細なサイトがいくつも出てきます。
興味のある方はぜひ調べてみてください。
指紋認証や顔認証は非搭載
Fire HD 10 Plusは指紋認証や顔認証等の生体認証には対応していません。
PINまたはパスワードで解除します。
指紋認証・顔認証に慣れていると毎回入力するのは面倒ですね。
筆者もスマホを使う際は指紋または顔認証での解除が当たり前になっており、もはや懐かしさすら感じます。
家から持ち出さない、という場合はロックを設定せずに使うのもアリでしょう。
Fire HD 10 Plusと他のFireシリーズを比較
Fireシリーズは今回レビューしたFire HD 10 Plus以外にもたくさんの種類があります。
モデル名 | 価格 | 画面サイズ | 容量 |
---|---|---|---|
Fire 7 | 6,980円 | 7インチ | 16GB |
Fire HD 8 | 11,980円~ | 8インチ | 32GB / 64GB |
Fire HD 8 Plus | 13,980円~ | 8インチ | 32GB / 64GB |
Fire HD10 | 15,980円~ | 10.1インチ | 32GB / 64GB |
Fire HD 10 Plus | 18,980円~ | 10.1インチ | 32GB / 64GB |
Fire HD 10 Plusと、各モデルの違いをチェックしましょう。
Fire HD 10との違いはメモリと無線充電
Fireシリーズには同じ10.1インチサイズの「Fire HD 10」もラインナップされています。
Fire HD 10 Plusとの主な違いは4つです。
Fire HD 10 Plus | Fire HD 10 | |
---|---|---|
価格 | 32GB版:18,980円 64GB版:22,980円 | 32GB版:15,980円 64GB版:19,980円 |
メモリ | 4GB | 3GB |
ワイヤレス充電 | 対応 | 非対応 |
カラー | スレート | ブラック、オリーブ、デニム |
スペック上の違いはメモリとワイヤレス充電のみです。
少しでもスペックを重視したい人、ワイヤレス充電を使いたい人はFire HD 10 Plusを選びましょう。
価格はFire HD 10が3,000円安く設定されています。
ワイヤレス充電不要でとにかく安く買いたいならFire HD 10でOKです。
Fire HD 8にはスペックでリード
続いては8インチモデルである「Fire HD 8」および「Fire HD 8 Plus」との比較です。
スペック面ではFire HD 10 Plusがリードしています。
スペック | Fire HD 10 Plus | Fire HD 8 | Fire HD 8 Plus |
---|---|---|---|
価格 | 32GB:18,980円 64GB:22,980円 | 32GB:11,980円 64GB:13,980円 | 32GB:13,980円 64GB:15,980円 |
カラー | スレート | ブラック ブルー ローズ | グレー |
サイズ | 幅247mm 高さ166mm 厚さ9.2mm | 幅201.9mm 高さ137.3mm 厚さ9.6mm | 幅201.9mm 高さ137.3mm 厚さ9.6mm |
重さ | 約468g | 約337g | 約342g |
画面サイズ | 10.1インチ | 8インチ | 8インチ |
解像度 | 1,920×1,200 | 1,280×800 | 1,280×800 |
リフレッシュレート | 60Hz | 60Hz | 60Hz |
OS | Fire OS | Fire OS | Fire OS |
SoC | 2.0GHz オクタコア | 2.0GHz ヘキサコア | 2.0GHz ヘキサコア |
メモリ | 4GB | 2GB | 3GB |
ストレージ | 32GB / 64GB | 32GB / 64GB | 32GB / 64GB |
アウトカメラ | 500万画素 | 200万画素 | 500万画素 |
インカメラ | 200万画素 | 200万画素 | 200万画素 |
バッテリー | 最大12時間 | 最大13時間 | 最大13時間 |
ワイヤレス充電 | 〇 | × | 〇 |
Alexa | 〇 | 〇 | 〇 |
Showモード | 〇 | 〇 | 〇 |
Wi-Fi | Wi-Fi 5(802.11ac) | Wi-Fi 5(802.11ac) | Wi-Fi 5(802.11ac) |
Bluetooth | 5.0 | 5.0 | 5.0 |
Fire HD 10 PlusはCPUがオクタコアに、メモリが4GBにアップしています。
処理性能はFire HD 8/8 Plus以上です。
ディスプレイの解像度も高いので、とくに動画視聴の際にきれいな映像を楽しめます。
一方、Fire HD 8/8 Plusは小さすぎず大きすぎないボディサイズが魅力です。
Fire HD 10 Plusは、外出先で使うには大きすぎます。
携帯性と使いやすさを両立している、絶妙なサイズ感ですね。
価格もFire HD 10 Plusに比べると安めに設定されています。
Fire HD 8ならほぼ半額です。
Fire 7とはスペックが大きく異なる
最廉価モデルであるFire 7と比べると、スペックの差がさらに顕著です。
スペック | Fire HD 10 Plus | Fire 7 |
---|---|---|
価格 | 32GB:18,980円 64GB:22,980円 | 6,980円 |
カラー | スレート | ブラック |
サイズ | 幅247mm 高さ166mm 厚さ9.2mm | 幅181mm 高さ118mm 厚さ9.7mm |
重さ | 約468g | 約282g |
画面サイズ | 10.1インチ | 7インチ |
解像度 | 1,920×1,200 | 1024×600 |
リフレッシュレート | 60Hz | 60Hz |
OS | Fire OS | Fire OS |
SoC | 2.0GHz オクタコア | 2.0GHz クアッドコア |
メモリ | 4GB | 2GB |
ストレージ | 32GB / 64GB | 16GB |
アウトカメラ | 500万画素 | 200万画素 |
インカメラ | 200万画素 | 200万画素 |
バッテリー | 最大12時間 | 最大10時間 |
ワイヤレス充電 | 〇 | × |
Alexa | 〇 | 〇 |
Showモード | 〇 | × |
Wi-Fi | Wi-Fi 5(802.11ac) | Wi-Fi 5(802.11ac) |
Bluetooth | 5.0 |
スペック面はほぼすべての項目でFire HD 10 Plusがリードしています。
Fire 7だとちょっとした動作でももたつくので、普通に使うならFire HD 10 Plusがおすすめです。
Fire 7の強みは価格とサイズ感です。
価格は6,980円と、Fire HD 10 Plusの3分の1で済みます。
サブ用途などに割り切って使うならアリですね。
サイズも7インチとコンパクトで、片手でも楽に持てます。
ブラウジングやSNS、電子書籍専用ならこのサイズでも十分ですよ。
セール中なら64GB版も1万円台
Fire HD 10 Plusの販売価格は32GB版で18,980円、64GB版で22,980円です。
4,000円の差でストレージ容量が2倍になります。
さすがに32GBは少ないので、基本的には64GBがおすすめです。
普通に買っても十分安いですが、セール中なら64GB版も1万円台で買えます。
筆者も64GB版を6,000円引きの16,980円で購入しました。
Amazonは頻繁にセールをしています。
急いでいないのであれば、セールを待ってみるのも良いでしょう。
まとめ
以上、Fire HD 10 Plusのレビューでした。
価格の割にはサクサク動き、良い意味で期待を裏切られました。
動作の重い3Dゲームをしないなら全然メイン機としてもイケます。
唯一、専用アプリストアの品ぞろえの悪さだけは注意してください。
Google Playを導入すれば解決しますが、あくまでも非公式な方法です。
不安な場合は普段使っているアプリがアプリストアにあることを確認したうえで購入しましょう。
動画視聴や電子書籍くらいなら、丸1日は電池切れを心配せず使えます。